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就活コラム

労働法

執筆者 社会保険労務士 西尾直子先生(外山アソシエイツ)
≪メールマガジン第73号≫2018-3-15配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第12回)】●
 これまで、労働契約や労働条件について、気になるいくつかのポイントをみてきましたが、もう一度、最初に戻って、会社が、労働者を募集するときの『労働条件の明示』についてお話しします。

 皆さんが、就職活動を行う際、求人票に基づいて応募するかどうかを検討しますよね。
 ところが、いざ働き出すと、いつの間にか労働条件が変わっていることがあります。それは、求人票の記載があくまでも予定であって、会社が、面接の結果、応募者の適性や能力等によって変更した方がよいと判断することもあり、やむを得ないのですが、応募者としては、全く説明がなかったのに大きく変更されていれば、なんだか煙に巻かれた気にもなってしまいます。

 そのため、これまでも、法律上、会社は、募集を行うときと、労働契約を結ぶときの2段階において、一定の労働条件を明らかにする義務がありましたが、さらに、以下の点について改正がありました。
 1 募集時の求人票等に記載する必要項目の追加
  ① 試用期間の有無と期間
  ② 裁量労働制を採用する場合はその詳細
  ③ 固定残業代を採用する場合はその詳細
  ④ 派遣労働者として雇用する場合は、その旨の形態の記載 ・・・等
 2 募集から採用までの間に労働条件を変更するときは、『変更内容』を通知すること

 つまり、会社は、近年、紛争になりやすい、試用期間・裁量労働制・固定残業代等についても求人票に記載することと、求人票の労働条件を変更するときは、その変更箇所が分かるようにしたうえで、応募者に考える時間を与えられるよう、できるだけ速やかに知らせなければならないこととなったのです。

 応募者の皆さんとしては、求人票を見るときは「追加項目が書かれているかどうか」、応募後は「労働条件の変更の通知が届かないか」、に注意が必要です。
 そして、求人票と労働契約を結ぶときとの労働条件の違いをしっかりチェックし、労働条件が異なっているときは、変更の理由などの説明を受け、変更内容を理解し本心から納得したうえで契約書にサインするようにしましょう。

 せっかく、ご縁があって就職する会社です。不安や憂いなく新生活をスタートさせれば、会社と協力し合い、末永く充実した職業人生活を送れるのではないでしょうか。
≪メールマガジン第71号≫2018-2-15配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第11回)】●
 近年、会社と従業員との間で紛争に発展しやすい問題の一つに、未払い残業代があります。
 休日労働はあまりなくても、残業が全くないという会社は少ないのではないでしょうか。
 仕事の期限が迫っていたり、区切りのよいところまでやってしまおうと、終業時刻後まで働くことは、どなたでも経験されていることと思います。

 さて、残業までしてがんばったとき、時間外手当はついているでしょうか。法律でも決められていますし、大半の会社がきちんと支払っていることと思いますが、なぜか、支払っていない会社があります。
 知っていながら支払わないでいる、などという会社はさておき、手当が本来の正しい額と合わない場合、次のような理由があります。
  • そもそも割増賃金の計算の基礎となる金額を間違えている。
  • 計算が煩雑になるので、30分や60分単位にしていて、それ未満は切り捨てている。
  • 固定残業代として、毎月平均的な割増賃金相当額を支払っているのでそれでよい、と考えている。
  • 給与明細書上は○○手当となっているが、実は割増賃金に充当するものだ、としている。
  • 営業は、みなし労働時間制をとっているので、残業代は必要ない、と考えている。
  • 年俸制とは、残業代込みのものだ、と考えている。
  • 管理職だから、労働時間管理の必要がなく、割増賃金支払い対象者ではない、と考えている。
  • 上司からの残業命令をしたときだけ計上していて、自主的に残っていた時間は残業としない。
などなど。
 しかし、近年、そのような大ざっぱなやり方は許されなくなってきています。
  • 時間外労働は1分単位で計算する。
  • 固定残業代は基本給と明確に区別できなければならない。また、実際より過剰になった月でもそのまま支給、不足の月は別途支給する。
  • 残業と趣旨が合わない手当の残業代充当は認められにくい。
  • たとえ外回り業務でも会社が行動を把握することができる場合は、時間外労働になることがある。
  • 管理監督者の認定は厳しくなっている。管理監督者でも深夜割増は必要である。
  • 自主的残業の黙認は、黙示の指揮命令ととられる可能性がある。
 このように、会社は、計算方法の不正確さや認識不足から、ついつい思込みの運用を行っていることがあります。その結果、会社としては「支払っている」と考えているけれど、本当は「未払い」状態になっていることがあるのですね。思込みはとても危険です。

 いかがですか、将来、皆さんが就職される会社も上記のいずれかに該当していないか、改めて、会社がどのように残業代を計算しているかを確認してみましょう。
 労働に見合った正しい残業代が支給されれば、従業員さんも気分よく仕事に取り組めますよね。会社と従業員さんが考え方を共通にできれば、余計な紛争も避けることができるのではないでしょうか?
≪メールマガジン第69号≫2018-1-15配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第10回)】●
 新年おめでとうございます。
 皆様は、どのような一年の目標をたてられましたでしょうか。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 会社の社員さんというと、これまでは、正社員、パート、アルバイトくらいでしたが、近年は、その他にも契約社員・派遣社員・嘱託社員・臨時社員・・・などなど、さまざまな呼称があります。
 それぞれ一定のイメージをお持ちだと思いますが、正社員とその他の社員とは、おおまかに次のような要素で区分されます。
 1 どの呼び名で雇用されたか
 2 直接雇用かどうか
 3 期間の定めがあるかないか(有期雇用か無期雇用か)
 4 所定時間勤務か短時間勤務か
 5 基幹的業務につくか、責任の度合いはどの程度か  etc.
 これにより給与や福利厚生等に差がでるので、それぞれ気になる要素ではありますが、仕事の安定という面からみると、「雇用契約の期間に定めがあるかないか」という点は大きな差ではないでしょうか。
 そして、なぜ無期雇用か有期雇用かが重要なのかは、皆さんにもよくお分かりになるかと思います。有期雇用契約の雇止めの問題があるからですね。
 何度も自動更新されてきて、ずっと働けるものと思っていたのに、いきなり更新をストップされてしまう!何年勤めても、いつ辞めろといわれるか心配で、おちおちしていられません。

 そこで、そのような不安を解消し、雇用の安定を図るため、『無期雇用契約への転換』という制度ができました。
 これは、従業員さんの有期契約が1回以上更新されて、雇用された期間が5年を超える場合に、会社に対し、無期契約(期間の定めのない契約)への申込みができるというものです。申し込むだけで無期契約になります。会社の許可も承諾もいりません。

 ただし、この制度は、正社員になるというものではありません。「期限のない雇用になる」だけで、原則「その他の労働条件や処遇は有期契約のときと同じ」ということに注意が必要です。勤務時間も配置も仕事内容も同じで、給与も変更はありません。時給の方は時給のままです。でも、雇止めだけはなくなるので安心して働くことができる。ということです。

 余談ですが、自動的に転換するのではなく申込制になっているのは、有期契約のままがいい、という方もいらっしゃるからです。働き方の目的・希望は、人それぞれですから。
 皆さんは、どのような働き方で、仕事に携わりたいと思われますか?
≪メールマガジン第67号≫2017-12-15配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第9回)】●
 会社が忙しい時期は、休日にも出勤しなければならないときがあります。「休日出勤」です。予定外の出来事でスケジュールどおり進まなかったり、急ぎの仕事が入ったり。やむを得ないことなのですが、出勤したら、その休日はどうなるのでしょうか?代わりの休みや賃金はもらえるのでしょうか?
 OFFの時間を大切にしている人にとっては気になるところです。

 休日出勤したとき、翌日などに『代休』を取るといいますね。休日出勤の代わりの休みです。
 そして、その他に『振替』という言葉もお聞きになったことがあるのではないでしょうか。
 会社が休日出勤を命じるとき、事前に別の日を休日にする場合と、取り急ぎ出勤してもらい、休日出勤後に改めて休みを与える場合とがあります。このときの、事前に決めていた代わりの休みを『振替(振替休日)』、事後に取った代わりの休みを『代休(代替休日)』といいます。

 この『振替』と『代休』はそっくりですが、実は、微妙に異なります。
 仮に、日曜日に出勤を命じられたとします。日曜日までに代わりの休み(振替)が決まった場合は、日曜日が労働日に、新しく決まった日が休日に入れ替わります。休日が変更されたことによって、この日曜日は通常の出勤日と同じになり、休日割増賃金は発生しません。
 振替休日は、休日出勤日より以前の日でも構いませんし、もし、どうしても具体的な日が決まらなければ「来週中(○日以内)の好きな日にとること」等でも、事前に決めていれば変更したことになります。
 ところが、代わりの休みが決まらないまま日曜日に働いたときは、そのまま日曜日が休日労働になり、たとえ後から休み(代休)をとっても休日に働いた事実は消えず、休日割増賃金が発生します。
 休日出勤後に、「休みをとっていいよ」といわれて休んでも、割増賃金(割増部分)はなくなっていませんので、ご注意ください。

 『振替』と『代休』とに分かれてしまうポイントは、「あらかじめ決めていたかどうか」というところです。ただ単に、休日出勤の前に代わりの休みを決めておいたかどうかというだけのことですが、法律上は『振替』は休日の変更、『代休』は休日労働を慰労するための休みなのです。
 ですので、法律は『代休』を定めておらず、休日出勤日の割増賃金が支払われていれば、代わりの休みがなくても法律違反ではありません。

 法律には、このような、似て非なる言葉や規定があちらこちらに現れます。あらゆる状況・場面を想定して正確に規定しているからですが、法律の理論は、なんと細かいのかと驚いてしまいますね。
≪メールマガジン第65号≫2017-11-15配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第8回)】●
 試用期間も済んで無事に正社員となり、そろそろ職場や仕事仲間にも慣れてきた頃は、新しいことをどんどん吸収できる頃でもあります。仕事に没頭しているうちに、とっくに終業時刻は過ぎてしまいました。「目処がつくまでもう少し」というところでしょうが、一息ついて『時間外労働』について考えてみませんか。

 労働時間と聞いてまず思い浮かぶのは、会社の勤務時間ではないでしょうか。始業時刻から終業時刻までの時間ですね(休憩時間は除きます)。『所定』労働時間と呼ばれます。
 もう一つ、法律が定めた労働時間があり、それが「一週40時間、一日8時間」を上限とする時間で、こちらを『法定』労働時間といい、『所定』労働時間とずれることがあります。
 普段、終業時刻後も残って仕事をすると、「残業した」といいますね。これは『所定』労働時間外の労働のことをいっていますが、法律のいう残業、すなわち『時間外労働』は、前記の『法定』労働時間(1日でいうと8時間)を超えた部分を指します。たとえ、始業時刻より前に出勤しても、終業時刻を過ぎても、8時間を超えなければ時間外労働にはなりません。例えば、勤務時間が7時間の場合や遅刻した場合などです。ちなみに、終業時刻後から8時間までの残業を『法内残業』や『法内超勤』と呼んで区別したりすることもあります(一週間についても同じ考えです)。
 そして、肝心の割増賃金はというと、8時間を超えて仕事をしたときに初めてついてくる、ということになります。『法内残業』には、割増はありません(任意で支給している会社もあります)。

 ところで、割増賃金の支払いで問題になりやすいのが、始業時刻前の朝礼・着替え・準備の時間、終業時刻後の後片付け、研修、会合、催しの時間などです。おおむね、始業時刻前は労働時間となる可能性が低く、終業時刻後は可能性が高いといえますが、「全員参加と義務づけられている朝礼」「当番制になっている準備」「自由参加だが参加しないことで不利益がある会合」などは労働時間と考えられやすく、逆に、「しなくても仕事に影響しない机整理のための自主的早出」「自由任意の自己啓発の会への参加」などは労働時間とはなりにくい、といったように、具体的に何をしていたか、義務づけられていたか、仕事との関連の度合い、上司の指示があったか、など、個々の実態で判断されます。
 それは、タイムカードどおり全て労働時間となるわけではなく、その内容も重要だということでもあります。

 近年は、従業員さんの健康や公平な残業代支給の観点から、残業を許可制にしていたり、定刻までに業務を完了した場合に手当を支給する、など、会社の残業の管理も変化してきています。時間は、ついついあるだけ使ってしまいがちですが、今一度仕事の進め方を振り返り、効率よくできれば充実感も増し、OFFの時間も有意義に過ごせそうですね。
≪メールマガジン第63号≫2017-10-16配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第7回)】●
 今回は、特に気になる労働条件の一つ、『賃金』についてみてみましょう。
 会社が、賃金を支払うときには、いくつかの決まりがあります(原則なので例外もあります)。
  • 紙幣・硬貨で払います。
    賃金は、現金で支払わなければならず、別に取り決めがない限り、小切手や会社の商品などで支払うことはできません。銀行振込にも同意が必要です。
  • 従業員さん本人に直接支払います。
    債権者や代理人等へ支払った場合、本人から請求があれば、会社は二重払いしなければなりません。銀行振込の場合も本人名義に限ります。
  • 全額を支払います。
    会社の一方的な天引き・相殺はできません。ただし、従業員さんの都合で欠勤・遅刻・早退などで労働しなかった分については支払わなくても構いません。
  • 毎月1回以上支払います。
    1年でいくら、と決めるいわゆる年俸制でも、毎月分割して支払わなければなりません。
  • 決めた日に支払わなければなりません。
    “毎月○日”や“毎月末日”などの日です。“第3金曜日”などは日付が変動するのでいけません。
 なかでも重要なのは、賃金は全額を支払わなければならない点です。税金など法律で定められたもの以外は、仮に従業員さんが会社から借金をしていても、会社に損害を与えた場合でも、悪いことをした場合でも、その返済金や賠償金を会社が勝手に賃金から引くことはできません(「会社が勝手に」ということですので、合意があれば可能な場合もありますし、もちろんそれとは別に返済や支払いはしなければなりませんが)。
 その他、従業員さんが会社の規律に違反した罰金として賃金の減額をするときでも、1回につき一定の金額以内と決められていますし、どんなときも賃金は会社の自由にはなりません。
 賃金は労働の対価ですので後払いです。だからこそ、確実に従業員さんの手元に届くよう厳格に決められているのですね。
≪メールマガジン第61号≫2017-09-15配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第6回)】●
 会社には『就業規則』というものがありますが、実際に中身をご覧になったことはありますか?
 会社は、従業員さんがいつでも就業規則を読むことができるようにしておかなければなりません。
 なぜなら、就業規則は、その会社で働くときのルールが書いてあり、一方では、それは「このように働いてほしい、こんな風に成長してほしい」という従業員さんへのメッセージでもあります。
 ですので、従業員さんの目に触れなければ意味がありませんね。

 では、採用時の『労働契約書』(採用のときに約束した労働条件)の内容と『就業規則』とを比べてみましょう。賃金や勤務時間・休日など異なっている項目はありませんか?
 もし、違っていた場合、どちらを自分の労働条件と考えればいいのでしょうか?

 就業規則と労働契約書が異なる場合は、有利なほうが労働条件となります。
 いくら労働契約書があっても就業規則より条件が低い契約部分は無効ですが、高い契約部分は有効です。つまり、労働契約書(採用のときに約束した労働条件)の方が不利な部分は、就業規則の条件まで引き上げられ、逆に有利な部分はそのまま労働契約書の条件が採用されることになるのです。
 いかがですか?さすが、労働者の味方の労働法ですね。

 労働契約書は、契約内容のほんの一部で、就業規則には、労働条件全般、仕事をするときの規律、規則に違反したときの処分、福利厚生など受けられる制度や申請方法、その他、いろいろなルールが定められています。会社の一員として守るべきルールはきちんと守り、受けられる処遇、制度はしっかり確認して、長く気持ちよく働けるように、ぜひ、就業規則に目を通しておかれることをお勧めします。
≪メールマガジン第59号≫2017-08-15配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第5回)】●
 いよいよ新しい職場での勤務が始まりました。張りきっています。
 ですが、最初の○か月間は試用期間となっています。「試用期間ってよく聞くし、なんとなくはわかるけれど、どんな状態なのだろう?」と少し心配です・・・。

 『試用期間』は、多くの会社が取り入れていますが、その字から、お試しの期間だということがわかります。「しばらく様子をみて、良い人なら引き続き会社にいてもらおう」というものですね。そのため、従業員さんの地位も仮のものと考えられがちです。確かに、試用期間を設ける意味はそのとおりなのですが、従業員さんの地位や処遇はそんなに軽いものではありません。

 まず、試用といえども、立派に労働契約は成立しています。ただ、会社には、この期間中に限り、契約を解約することができる権利が残っていて、実際に働いてもらうなかで、面接だけでは分からない適性をみたり、問題がないかをみて、不適格な事情が判明したら解約を申し出ることができます。会社が解約しなければ、従業員さんはそのまま本採用になり、期間満了とともに解約の権利はなくなります。
 その際、会社は、むやみに試用期間を延長したり、一方的に労働条件を変えたりできません。
 そして、能力・資質や働きぶりの判断は、試用期間が満了するときにすべきで、期間の途中で早ばやと不適格だと決めつけてはいけません。かといって、なんの注意や指導もせずに過ごしながら、満了時にいきなり「ダメだ」もよくありません。
 「経歴に嘘があった」「病気で働けなくなった」「欠勤が続く」「ミスや悪い態度が直らない」「能力が極端に低く改善の見込みがない」などがなく、誠実に仕事に取り組んでいれば、心配はなさそうです。
 なお、試用期間中も、残業代を支給し、社会保険にも加入します。試用期間の初日から6か月を経過し出勤率を満たした従業員さんは、年次有給休暇もとれます。

 いかがですか?いくらかは、安心してがんばっていこう!という気持ちになっていただけましたでしょうか?
≪メールマガジン第57号≫2017-07-18配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第4回)】●
 がんばって活動した甲斐があって就職先も決まり、いざ、会社と労働契約を結ぶことになりましたが、さて、お互いが合意し約束すれば、どのような内容の契約でもできるものでしょうか?
 一般的な契約では、お互いが納得すれば、その契約は有効です。しかし、労働契約は違います。労働者が本心から合意する場合でも、就職のためやむを得ず合意する場合でも、労働法は次のようないくつかの契約を禁止しています。

 ①従業員さんのミスで会社が損害を被ったときの賠償金の額をあらかじめ
  決めておく
 ②何年か以内に退職したら、研修等にかかった費用を従業員さんが支払う
 ③入社前提の前借金等のお金を賃金から返済する
 ④会社が貯金という名目で一定金額を賃金から強制的に差し引いて預かる、
  などです。

 「うちの会社で働いてくれると思うからこそ、お金をかけて研修までして必要な技術を身につけてもらったのだから、○年以内に退職するなら費用は払ってもらうよ。」ということがありますね。
 会社にとってみれば、もっともな言い分なのですが、これらの契約があるために、「返済が済むまでは辞められない、費用の支払いが発生するので決まった年数は勤めなければならない、会社に預り金が残っているので辞められない」など、従業員さんが実質的に辞めたくても辞められない、転職したいのにできない、という事態になりかねないので、『前もって約束すること』を禁止しているのですね。
 そうそう、『賃金の支払いを銀行振込にする』『賃金から税金等を引く』くらいはできますよ。
≪メールマガジン第55号≫2017-06-15配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第3回)】●
 求人広告の条件欄の読み方には、ちょっとした落とし穴があります。
 もちろん会社に悪意はないのですが、読み手が違った内容に思い込んでしまうのです。
 例えば、『休日』ですが、求人欄に「週休2日」となっていたら、つい、「土日(または週に2日)の休みがある」と思ってしまいますよね?確かにそうなのですが、正しくは『休日2日の週が1か月のうち1週以上ある』という意味です。ひょっとすると、休日2日の週は1週だけで、残りの3週は1日かもしれません。『完全週休2日』となっているのが毎週のことで、『完全』が抜けていると毎週ではなくなってしまうのです。なかには、毎週のつもりでいる会社もありますが、確かめたほうがよさそうです。
 また、『賃金』を例にとってみましょう。会社によっては、試用期間中と本採用後で賃金額が変わる場合があります(予めそうしたルールを定めているか、本人の同意をとればできないことはありません)。
 入社後からずっと条件欄どおりの賃金額なのかと思っていると、いざ働き出してから、『○か月間は試用期間だからその間は賃金が低かった』とか『本採用になったが、試用期間中の評価で賃金が下がった』などということにもなりかねません。それでは、せっかくこれから始まろうという矢先に、出鼻をくじかれてしまいます。
 さらっと読んでしまいがちな条件欄ですが、ほんの少し『気をつけて読む』『確認する』ことを意識すると、後々「しまった!」とならずにすみますね。ご注意ください。
≪メールマガジン第53号≫2017-05-15配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第2回)】●
 面接を受けた会社から、「来月から出勤してくれる?」といわれました。内定をもらい一安心です。
 でも、初出勤までの間に会社から「取り消す」といわれないか、少し不安も残りますね。
 会社が、採用内定を出した後、取り消すことが認められるのはどのような場合でしょうか?
 それは、『働く側に、内定のときには無かったり、分からなかった困った事情が発生したとき』です。
 例えば、『本当は必要な資格を持っていなかったり、経験を偽っていたり、健康状態に異常が生じたりして、就職してもその仕事ができないというような事情が判明したり、発生したとき』です。実際には、もっと抽象的な理由(営業職なのでもう少し明るい人の方がよかったかな?体力がなさそうだな。採用人数を減らしたいetc.)で取り消す会社がありますが、それは正当な理由にはなりません。内定取消しはそう簡単にはできないのです。
 ですが、一方でこんな事例もあります。営業職の募集に、対人に不安のある方がそのことを黙って面接を受け就職したがために、後々、精神的に苦しくなり、とうとう会社とのトラブルにまで発展しました。
 応募する側としても、無理をせず、募集の職種に影響しそうな事情があるのなら正直に申告し、自身に向いた職種を地道に探すことが、ひいてはよりよい仕事に出会える近道なのかもしれませんね。
≪メールマガジン第51号≫2017-04-17配信
●こんにちは、就活コラムです【知って得する労働法(第1回)】●
初めまして。社会保険労務士の西尾直子と申します。
これから1年間、働くときに知っておくと役立つ、労働法の豆知識をお届けいたします。
堅苦しい話になりますが、労働法は働く人の味方です。身につけると頼もしいですよ。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

 仕事を探すとき、まず求人票のどこをみるでしょう。
 「社会保険に入っておきたいから正社員」「週2日だけ働きたいからアルバイト」と、まず、呼び方をチェックしませんか?
 それは、アルバイト、パート、契約社員など、呼び方でなんとなく条件や待遇を判断しているからではないでしょうか。
 しかし、各種の制度や社会保険などが適用されるかどうかは、正社員などの呼び方ではなく、働いている実態(契約期間が決まっているのかいないのか、期間はいつまでなのか、週の勤務日数、勤務時間、仕事の内容等)によって決まっているのです。
 呼び名に惑わされず、面接や説明会では、どのような働き方になるのかをよく聞いて決めましょう。
 また、会社は、労働契約を結ぶときには、契約期間、勤務する場所、仕事の内容、賃金など、重要な項目については、書面で交付する決まりがありますので、遠慮なく申し出て構いません。入社した後、条件が変わっていないか確認するためにも、「言った・言わない」にならないためにも、必ず、『労働条件通知書』や『労働契約書』などをもらうようにしましょうね。